hibisikasu2.gif (1696 バイト)hibisikasu.gif (3719 バイト)hibisikasu.gif (3719 バイト)和田浦LISM hibisikasu.gif (3719 バイト)hibisikasu2.gif (1696 バイト)hibisikasu2.gif (1696 バイト)

(Back Nomber)


プール当番

 和田小学校の所有するプールは、国道128号線沿いにある。天気の良い夏休みには、たくさんの子供たちで賑わう。道路にまで水遊びの歓声が聞こえる。ところが今夏はおりからの冷夏。プールで遊ぶ子供たちも一段と少なかった。そんなある日、プール当番の日がやってきた。和田小学校に通う児童を持つ父兄が交代で、プールで遊ぶ子供たちの監視をする。最近では、ライフガードのお兄さんやお姉さんもいてくれるので、ただただぼーっとしていれば用は足りるという按配。

 ところが私が当番の日、あいにくの曇天空、子供たちは待てど暮らせど一向にやってくる気配が無い。ただただ水面に晩夏の風が、少しばかりのさざなみをこしらえては通り過ぎるのを眺めていた。何だか妙に哲学的な時間が過ぎていった。当番は二人組みで行われ、相棒のご婦人は品の良い、和田浦あたりに住まわせておくのはもったいないような方だった。プールサイドでいい年したおやじが哲学してしまうのもみっともないので、隣の貴婦人をくだらない冗談で笑わせた。くだらない冗談は、やっぱりくだらない冗談で、長続きはしない。貴婦人も飽きてしまった様子なので、今度はライフガードのお姉さんのところへ行って、更にくだらない冗談を言った。そうこうするうちにやっとお待ちかねの少年が3人やってきた!先ほどまでの哲学のプールはあっという間に、子供たちによって活気を取り戻し、シャチの浮き輪が泳ぎ回るに至った。良かった、良かった!!

 例の貴婦人は、たった一つだけ私に訊ねた。「奥様とはどこで・・・・・・?」「交差点で転んでいるところを助けてあげて、それからの付き合いです。」突然の質問に、とんでもないデタラメを言ってしまった。20年以上も前の夏、ちょうどお盆の終わった頃、土用波が大きくて「海は危ないからプールで泳いだら!」そんなことを言って上手くこのプールに連れてきたのが始まりだった。残暑厳しい日で、プールサイドのコンクリートがジリジリ暑かったのを思い出した。陽炎、蝉時雨、夕立、線香花火、そんなこととは全く無縁だった今年の夏が終わる。プールで遊ぶ子供たちの背中の日焼け具合も心なしか寂しい夏が行く。作物にも、もちろん人間にも、やはり夏はそれなりに暑いほうがいい。哲学の最後に、そういう答えに行き当たった。やはりわたしごときの哲学なんてそんなものに決まってる。

2003-08-19

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