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アメリカザリガニの考察
昨年10月、悪友達と伊豆七島新島の民宿で飲んだくれていた。新島の波も「昔のように良い波が立たないねェ」から始まって、おおよそサーファーの会話にありがちな「自然全体のサイクルが狂っちゃってるじゃん?」みたいな、そんなくだらない会話だった。そのさなか、一人が「そういやぁザリガニだっていなくなったよなぁ」食卓に並ぶザリガニほどの大きさのイセエビをつまみながら言うのだった。「ところで、あの赤くてでかい奴は何故ゆえにアメリカザリガニというんだ?」「アメリカが原産国だからじゃん?」「じゃ、なんで日本にいるんだべ?」
私は得意満面で阿呆面した友人たちに言ってやった。
「そりゃ、おめぇ、戦時中にだな、アメリカ軍が水田の稲を根こそぎそいつに食わせて、日本を食糧難に陥れようとしてヘリコプターから撒いたんだってよ。」
「ねぇねぇ、本気で言ってるんじゃないでしょ?」
「あん?本気本気、そりゃぁ凄い地獄絵だったらしいぞ。空から、あの真っ赤なザリガニが降ってくる図は、な!死んだひいばあちゃんがいってたもん。東の空から真っ赤に染まっていってな、見るも無残な光景だったらしいぞ。」
「じゃ、あのアパッチみたいなヘリコプターがやってきて和田の上空からザリガニ撒いたんだ?で、食糧難にはなったの?」
「そこまではしらねぇ、それなりの効果はあったと思う。」
「おまえね、ザリガニは確かに田んぼにいるけど、稲なんて食うか?あのザリガニはね、人間のタンパク源として輸入されたの!ヘリコプターで撒いたりするはずねぇべ?40過ぎまでそんなこと信じてた?空からザリガニが降ってきたと信じてた?チャック ノリスみたいなUSエアーフォースの大佐が「今だ、ばら撒け!」で、ダーッとザリガニが空から降ってくると思ってた?サリンとかそんなのより夢があって良いけど、おまえねぇ、戦争してんだよ?格好いいフライトジャケット着たアメリカ人が、ザリガニ撒いてたら、だいたい格好つかないべ?」
「だってよ、死んだばあちゃんが・・・・」
みんなは私のアメリカザリガニに対する考察を腹を抱えて笑い転げ、涙を流して大笑いして、終いには呆れかえって寝てしまうのだった。
さて、そのアメリカザリガニだが、ヘリコプターから散布された説は間違い。人間の食料説、これも正しくは無い!大正の時代、食用ガエルを日本に持ち込み、それを有効なタンパク源にしようとした人がいた。神奈川の大船辺りの人。で、その食用ガエルの好物がアメリカザリガニだったので、わざわざ輸入して沼地で飼っていた。それが知らぬ間に増えていってアメリカザリガニが繁殖しだした。それが正しい説である、と有識者に聞いた。
お正月のお飾りには海老が付いていて、家の玄関や車に付けて1年の幸福を願う人がいる。最近はアメリカザリガニよろしく、そういうお正月の風物詩も滅多に目にしなくなった。けれど車のフロントグリルに堂々と真っ赤な海老つきのお飾りを付けた車を見たので、アメリカザリガニが主役の、あの悪夢のような、くだらない会話の新島を思い出してしまった。できれば今年も笑いの耐えない1年にしたいと思う。ルールとマナー、ほとんど英語を理解できない日本人が大好きな言葉だが、おれはセンスとユーモア、が好きだな!
2003-01-05
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